個人契約の家庭教師にかかる税金は?(確定申告・源泉徴収・年末調整)

税金

個人契約をした場合の家庭教師バイトにかかる税金(所得税)・確定申告・源泉徴収・年末調整について、詳細に解説します。「家庭教師の税金はどうなるの?」「家庭教師のバイト代は確定申告が必要なの?」「源泉徴収は?」などの質問に答えます。

このページの記載内容は個人契約の場合ですので、家庭教師センターを通した場合の税金については、「家庭教師バイトの税金の詳細説明(確定申告・源泉徴収・年末調整)」のページをご参照ください。

個人契約の家庭教師の報酬は「給与」ではない

飲食店やSHOPなどでアルバイトする際の契約形態は「雇用契約」となりますが、個人契約の家庭教師の場合はどうなるのでしょうか?

「雇用契約」ではありませんので、(個人事業主として)「業務を請け負っている」ということになります。

雇用契約ではありませんので、その際に得られる「報酬」は「給与」ではありません。「雑所得」もしくは「事業所得」の扱いとなります。

個人契約の家庭教師にかかる税金は?

「給与」「事業所得」「雑所得」などの収入に対しては、法律で定められた税金(所得税)がかかります。税額の算出の期間は、1月~12月の1年間です。

以下ではまず、税額の計算方法について記載します。その後で、「個人契約の家庭教師」の場合がどのようになるかを記載したいと思います。

所得税の計算その1

年間の税金(所得税)の金額は、「収入-経費(給与所得控除)-所得控除」×税率で計算できます。ちなみに「収入-経費(給与所得控除)」の金額を「所得」といい、「収入-経費(給与所得控除)-所得控除」つまり「所得-所得控除」の金額を「課税所得」と言います。税率は課税される「課税所得」の金額で異なり、所得税額は以下のようになります。

  • 課税所得が195万円以下:税率5%
  • 課税所得が195万円超~330万円以下:税率20%-97500円
  • 課税所得が330万円超~695万円以下:税率20%-427500円
  • 課税所得が695万円超~900万円以下:税率23%-636000円

※累進課税です。900万円超は省略します。

※震災復興の為に所得税額の2.1%の復興特別税が別途かかります。

所得税の計算その2

飲食店などでのアルバイトの場合の所得税の計算について実際に見ていきたいと思います。

まず「所得」を計算するために「経費」である「給与所得控除」を差し引かねばなりません。給与所得控除は、収入により以下のようになります。

  • 収入が180万円以下:収入の40%(55万円に満たない場合は55万円)
  • 収入が180万円超360万円以下:収入の30%+18万円
  • 収入が360万円超660万円以下:収入の20%+54万円
  • 収入が660万円超1000万円以下:収入の10%+120万円

※以下省略

次に「所得」から「所得控除」の金額を差し引きます。「所得控除」には様々なものがありますが、誰でも認められるのが「基礎控除(48万円)」です。基礎控除以外には、医療費控除・社会保険控除・生命保険料控除・寄付金控除・勤労学生控除などがあります。

例えば飲食店でアルバイトをしている大学生Aさんの年収が90万円だった場合、所得税の計算は以下となります。

収入:90万円

給与所得控除:55万円

基礎控除:48万円

課税所得=収入90万円-給与所得控除55万円-基礎控除48万円=マイナスなので0円

所得税=0円

よくアルバイトをしていると「103万円の壁」という言葉を耳にしますが、基礎控除48万円と給与所得控除55万円を足した103万円を収入が超えなければ税金がかからないという意味です。

個人契約の家庭教師の税金は?

本題の「個人契約の家庭教師」の収入にかかってくる税金についてです。上記にあるように、収入に対する所得税額の計算は、

「収入-給与所得控除-所得控除」×税率

で計算します。お店などと「雇用契約」を結んでいる飲食店などのアルバイトの場合は、上記で問題ないのですが、個人契約の家庭教師は「雇用」ではありませんので、「報酬」も「給与」ではありません。「給与」ではないので「給与所得控除」が使えないのです。

たとえば、個人契約の家庭教師で年間90万円を稼いでいる場合、所得税の計算は以下となります。

収入:90万円

給与所得控除:0万円

基礎控除:48万円

課税所得=収入90万円-給与所得控除0万円-基礎控除48万円=52万円

所得税=52万円×5%=26000円 ※復興特別税が別途かかります

同じ年間90万円という収入でも飲食店のバイトなら所得税0円、個人契約の家庭教師なら所得税26000円と税額が異なってくるのです。

家内労働者等の特例は使えるのか?

課税所得は「収入-経費-控除」で決められます。会社などの場合は、経費については領収書を集めて記帳して税額を計算するわけですが、給与所得者の場合は実際に経費がかかっていなくても「給与所得控除」の金額(最低55万円)を「経費」として税務当局が認めているのです。

給与所得者ではない場合(雑所得・事業所得の場合)でも「家内労働者等の事業所得計算の特例」という制度で、実際に経費がかかっていなくても65万円を「経費」として認められ場合があります。

国税庁のHP家内労働者等の必要経費の特例

この特例が認められる条件は

  1. 家内労働法に規定する家内労働者(例:内職)
  2. 外交員、集金人、電力量計の検針人(保険の外交員)
  3. 特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者

のいずれかに該当する場合だけです。

個人契約の家庭教師はいずれかに該当するのでしょうか?1・2は明らかに適用対象外ですので、認められるとすれば3の「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者」です。

「継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者」という部分は個人家庭教師は該当するでしょう。問題は「特定の者に対して」という部分です。ここでいう「特定」というのは「1人」という意味ではありません。複数人でもOKですが、「不特定多数」はダメということです。パソコン教室を自宅で開業している場合は「不特定多数」に対して役務を提供可能なので適用対象外、パソコン教室Aで講師をしている場合はAだけに「特定」されるので対象となるようです。

家庭教師の場合はどうなるのでしょうか?派遣会社に登録して指導している場合は「特定」されているといえそうですが、個人契約の家庭教師の場合は、どうなるのでしょうか?

  • ネットで生徒を公募していると役務対象が「不特定多数」となる?
  • 個人契約サイト程度なら問題ないがプロ家庭教師としてHPで生徒を募ると「不特定多数」となる?

線引きが大変難しいです。このような微妙なケースの場合、管轄の税務署によって判断が異なる場合があります。家庭教師の個人契約の収入が48万円を超えている場合は、一度、管轄の税務署に相談されることをお奨めします。尚、その際は相談した税務署職員のお名前を忘れないようにメモしましょう。

税金の納付方法は?

1月~12月までの家庭教師の収入に対してかかる税金は翌年3月15日までに確定申告で納めます。他にアルバイトをしていて源泉徴収されている場合も、確定申告して税額を調整します。

源泉徴収はあるの?

個人契約の場合、「個人事業主への支払い」であって「給与」ではありませんので、源泉徴収はありません。

年末調整はあるの?

個人契約の場合、「個人事業主への支払い」であって「給与」ではありませんので、年末調整もありません。

みんな支払っているの?

個人契約の家庭教師をする場合は、確定申告をして納税する必要があるのですが、実際に納税している人はどれくらいの割合なのでしょうか?

家庭教師センター経由の場合と違って、個人契約の場合は、

  • 現金支給が多い
  • 支払う側が法人ではないので税務署に支払報告をしていない

などの理由で税務署としても調べることが非常に難しいと思います。

上記に記載したように「家内労働者等」に該当したとしても、(他のバイトなどの収入と合算して)年間103万円を超える収入があれば確定申告して納税する義務があるのですが、実態は・・・・・?

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